森林エコシステム分野 森林植物・微生物学研究室
- きのこ学
- 森林微生物学実験
きのこやカビの
不思議な生き方を解き明かそう
「きのこは食べるもの」「カビは家を汚すもの」。あなたは彼らの一面だけを見て、そんな風にイメージを決めつけていないでしょうか。しかし、一歩森へ踏み込めば、そこには私たちがまだ知らない数千、数万種もの「菌類」たちが暮らしていて、彼らの多様な仕事ぶりが見えてきます。ある者は落ち葉や枯れ木を分解し、ある者は昆虫や樹木が増えすぎないように病気を起こしてバランスを保ち、またある者は樹木の根に寄り添い成長をサポートしています。一見すると目立たず、役に立たないように思える、きのことカビ。しかし彼らこそが、森の資源を循環させ、多様な命を支えているのです。彼らの奇妙で不思議な生き方をひも解くことは、豊かな自然を未来へつなぐ鍵を見つけ、私たちの暮らしを豊かにするヒントを得ることにつながります。知られざる森の住人たちが織りなす、多様な生き方の謎を、私たちと一緒に解明しませんか。
研究1
ツバキ菌核病菌ツバキキンカクチャワンタケの生態
ツバキ菌核病はツバキの花に発生する病気で、花を腐らせて観賞価値を損ないます。この病気の原因となるツバキキンカクチャワンタケ(Ciborinia camelliae)の遺伝的多様性や宿主範囲を調べ、生態や分布を明らかにしようとしています。この菌はどこに分布し、どの地域にも同じ性質の菌が存在しているのでしょうか?動植物とは異なるきのこならではの視点で調査を進め、未知の生態を解明しています。樹木医学研究に掲載された論文(2023年)「では、ツバキ属樹種の自生地における菌の生息密度や宿主選好性を調べ、菌の生態を詳細に分析しました。これらの研究成果は、ツバキ菌核病の発生メカニズムを解明し、効果的な防除対策を開発するために役立つことが期待されます。
ツバキの花に変色を引き起こすツバキキンカクチャワンタケ
研究2
森林生態系と関わる菌類の多様性と機能
森林生態系における菌類の多様性と機能に焦点を当て、菌類の多様な生態や動植物との相互作用について研究しています。例えば、森林で枯死した樹木は、きのこやカビなどの菌類によって長い年月をかけて分解され、やがて土に戻ります。しかし、森林の外に流出した場合はどうなるのでしょうか?そのような疑問から、これまで見過ごされてきた海岸流木に生息する菌類の特徴や分解への貢献、生態系との関わりの解明に取り組んでいます。さらに、多様な花や葉の内生菌、昆虫に寄生する冬虫夏草、昆虫と共生するきのこの生態解明なども研究テーマとしています。人間との関わりがほとんどないように見える微生物でも、生態系の維持に欠かせない重要な役割を果たしています。これらの研究成果は、森林生態系の生物多様性や物質循環を理解する上で重要な基礎情報となることが期待されます。
海岸に漂着した流木