~森林と社会をつなぐ~
森林サービス分野

木材工学研究室
杉浦 克明(教授)(Researchmap)
【専門分野】
キーワード:森林管理学、森林環教育論、森林ビジネス論
【主な研究分野】
森林と社会をつなぐ架け橋となる研究を展開しています。森林環境教育や森林認証制度を通じて、私たちの生活と森林の関わりを深く理解し、持続可能な未来を築くための方法を探求しています。
都市部の公園や学校、さらには日常生活で目にする商品マークからも、森林とのつながりを見出すことができます。一緒に、森林と社会の新しい関係性を築いてみませんか?
【研究内容の紹介】
〜研究テーマ①〜
森林環境教育のパラダイムシフト

・森林環境教育を通じた「気づき」の創出です。たとえば、里山、公園、博物館のきのこ展示といった身近な自然を教材とし、森林と社会とのつながりを再発見する教育プログラムの実態について研究を行ってきています。“子ども樹木博士”の活動や研究では、子どもから大学生まで幅広い世代が樹木と関わるなかで、人と樹木と森林と社会の関係性を学術的に分析しています。その成果は、単なる研究成果にとどまらず、持続可能な社会の基盤としての森林環境教育のあり方を問い直すものです。さらに、学生たちが主体的にプログラムに参画することで、自ら観察・発信する活動を通じて、森林に関連する問題を自分事としてとらえる感性を育てることにも力を入れています。森林を知ることは、自分を知ることにつながる——そんな想いから生まれる森林環境教育は、現代社会における「生きる力」の再発見でもあります。
〜研究テーマ②〜
持続可能な森林経営:認証制度と資源利用

・森林を守るだけでなく、持続的に利用していくためには、適切な「仕組み」が必要です。森林認証制度が社会と木材市場に与える影響に注目し、その実態と意義を分析しています。たとえば、東京都多摩地域にある木材市場での認証材と非認証材の価格差に関する実証研究では、認証制度が木材の価値向上につながる可能性を示しました。これは、環境への配慮が経済的利益とも両立しうるという重要なメッセージを社会に投げかけるものです。また、認証制度に対する消費者や業者の意識調査を通じて、制度の普及には「信頼」と「理解」が不可欠であることを明らかにし、森林環境教育との連携の必要性も提唱しています。市場メカニズムと環境倫理の接点を見つめるこの研究は、「木を使うことが森を守る」社会の構築に貢献するものといえるでしょう。