~森林と社会をつなぐ~
森林エコシステム分野
日本には、森林の恵みである木を使った仏像などの貴重な文化財がたくさんあります。材料となる木の種類を特定することは、文化財の来歴を知る手がかりや保護・修復に役立ちます。文化財を傷つけることなく樹種の同定を行う技術の開発に取り組んでいます。

木材工学研究室
杉浦 克明(教授)(Researchmap)
【専門分野】
キーワード:環境教育、森林認証
【これから研究室を選ぶみなさんへ】
「森を五感で感じる教育を、テクノロジーで測る林業を」 杉浦研究室では、森林環境教育から最先端のドローン測量まで、人と森の未来をデザインします。子どもたちの笑顔が咲く教育プログラム、持続可能な林業を支える技術革新。あなたも「森林共生社会」のクリエイターとして、地球の未来を彩りませんか?
【研究内容の紹介】
〜研究テーマ①〜
森林環境教育:五感で学ぶ、未来を育む

・私たちは、森林環境教育を通じて、次世代の森林保護意識を育むことに情熱を注いでいます。「子ども樹木博士」プログラムの開発・全国展開はその代表例です。2014年の日本森林学会誌掲載論文「児童が思いつく樹種名とその理由」では、子どもたちが樹木をどのように認識しているかを分析し、効果的な教育プログラムの設計に活かしました。近年では、博物館と連携した森林環境教育プログラム開発にも注力。2024年の関東森林研究では、博物館の展示が森林への関心を高める可能性を示唆しました。これらの研究成果は、小学校の教科書や教育現場にも反映され、次世代の森林保護意識の向上に貢献しています。また、学生と共に谷戸を利用した森林環境教育活動を15年間継続し、学生の視点から教育活動の留意点をまとめるなど、実践的な研究も展開しています。
〜研究テーマ②〜
持続可能な森林経営:認証制度と資源利用

・森林認証制度や木材利用に関する研究を通じて、持続可能な森林経営の実現を目指しています。FSCやSGECといった森林認証制度が、企業の森林経営に与える影響を分析し、認証取得の促進に向けた提言を行っています。2018年の Forests 誌掲載論文では、日本企業が森林認証を取得する動機を分析し、認証制度の普及に向けた課題を明らかにしました。また、地域材の利用促進にも力を入れており、東京都多摩地域における木材流通の実態調査や、多摩産材の利用促進に関する研究を行っています。これらの研究は、地域経済の活性化と森林資源の持続的な利用の両立に貢献しています。さらに、焼畑農法の体験学習が森林への意識に与える影響を分析するなど、伝統的な農法と森林との関わりにも着目し、新たな森林環境教育の可能性を探っています。
〜研究テーマ③〜
森林計測技術:ドローンで拓く、新たな森林管理
・ドローンやリモートセンシング技術を活用した、効率的な森林計測・管理技術の開発に取り組んでいます。2020年の Drones 誌掲載論文では、ドローンで撮影した画像から樹高や材積を推定する技術を開発し、その精度を検証しました。この技術は、従来の森林調査に比べて時間やコストを大幅に削減できる可能性があり、森林管理の効率化に大きく貢献することが期待されています。また、UAVとSfM技術を活用した森林情報の取得に関する研究も行い、森林資源の把握や管理に役立つ新たな手法を提案しています。これらの研究は、森林資源の適切な管理と持続的な利用に不可欠な情報を提供し、森林科学の発展に貢献しています。