サステナブル住宅
森林バイオマス分野

森林の恵みと人の暮らしを持続的に保つために、住宅を中心とした木造建築の構造やデザインを研究します。気候風土に適応した住まいや古民家の再生・活用について学び、循環型の資源利用に基づく持続可能な家づくりと、木を活かしたインテリアを考えます。

木造建築学研究室
堀江 亨(教授)(Researchmap)

【主な担当科目】
木造住宅論、木造建築構法、建築計画論、建築設計製図I

【これから研究室を選ぶみなさんへ】
伝統木造建築の奥深さを探求し、未来のサステナブルな住まいを創造する!古民家の構造美をCADで解析、日本と世界の木造住宅を比較し、地域性と普遍性を解き明かします。木造建築用語の標準化で、世界に日本の技術を発信!歴史と技術が融合する、刺激的な研究室へようこそ!
森林からの恵みである木材を活かした木造住宅の造り方(構法)について、コンピュータ(CAD)による木組みの表現などを用いて、その変遷や地域色を明らかにする研究をしています。 また、古民家の家づくりの特性を把握し、現代の生活に適合するように古民家が再生される多様なプロセスを研究しています。 そのほか、日本と海外の木造住宅の比較研究や、木造建築に用いられる用語に関する研究を進めています。

【研究内容の紹介】

〜研究テーマ①〜
木造建築構法の変遷とデジタルアーカイブ化:古民家の知恵を未来へ

・日本の伝統的な木造建築は、気候風土や文化的な背景に適応した独自の構法を持ち、先人たちの知恵と技術が凝縮されています。特に古民家は、その地域の歴史や文化を伝える貴重な遺産であり、現代の建築においても学ぶべき点が数多く存在します。しかし、古民家の構造は複雑で、専門家以外には理解が難しい場合もあります。そこで、本研究室では、古民家の構造を詳細に調査し、CADなどのデジタル技術を用いてその構法を可視化する研究に取り組んでいます。
・具体的には、古民家の柱、梁、小屋組などの部材の配置や接合方法を詳細に計測し、3Dモデルを作成します。これにより、古民家の構造を立体的に把握することが可能となり、その構造的な特徴を知って強度、耐久性の分析に役立てることができます。また、古民家の建築当時の状況や改修履歴などを調査し、デジタルアーカイブとして保存することで、後世の研究者や建築家が古民家の知識を容易に活用できるようにします。この研究を通じて、古民家の価値を再認識し、その知恵を未来の建築に活かすことを目指します。

〜研究テーマ②〜
日本と世界の木造住宅比較研究:地域性と普遍性の探求

・木造住宅は、世界各地で異なる形態や構法で発展してきました。それぞれの地域には、気候条件、利用可能な木材の種類、文化的な背景などが影響しており、独自の木造住宅文化が形成されています。本研究室では、日本と世界の木造住宅を比較研究し、それぞれの地域における木造住宅の特徴や優位性を明らかにすることを目指しています。例えば、日本の伝統的な木造住宅は、高温多湿な気候に適した高床式や通気性の高い構造を持っています。また、地震に対する柔軟な構造も特徴の一つです。一方、ヨーロッパの木造住宅は、石造建築の影響を受けた重厚なデザインや、断熱性の高い構造が特徴です。これらの比較研究を通じて、各国の木造住宅が持つ独自の価値を再認識し、相互の技術交流を促進したいと考えています。さらに、持続可能な木材利用や環境負荷の低減など、地球規模の課題解決に貢献できるような、新たな木造住宅のあり方を提案していきます。

〜研究テーマ③〜
 木造建築用語の標準化と国際化:コミュニケーションの円滑化と技術の継承

木造建築の世界では、専門的な用語が数多く使用されており、その多くは地域や職人によって異なる意味合いを持っています。そのため、設計者、職人、研究者など、異なる立場の人が木造建築について議論する際、言葉の壁に阻まれることがあります。また、近年では、伝統的な木造技術の担い手が減少しており、木造建築用語の知識を持つ人材が不足しています。本研究室では、木造建築用語の標準化と国際化を目指し、コミュニケーションの円滑化と技術の継承を支援する研究に取り組んでいます。具体的には、文献調査や実地調査を通じて、木造建築用語の意味や用法を整理し、標準的な定義を策定します。また、各用語に対応する英語表記を検討し、国際的な研究交流や技術移転を促進します。さらに、木造建築用語に関するデータベースを構築し、誰もが容易にアクセスできるような情報基盤を整備します。これらの研究を通じて、木造建築に関する知識の共有を促進し、文化財の保存や技術の継承に貢献したいと考えています。