~物質循環と生態~
森林エコシステム分野

炭素や窒素循環の視点から生態系のバランスについて考えます。ヨーロッパの保護林やアラスカの山火事跡地、温暖化にさらされる日本のブナ林で、森の自立性について解き明かしています。美しい緑を支える落葉や倒木、土壌の大切さについて調べています。

森林生態学研究室
上村 真由子(准教授)(Researchmap)

専門分野】
「温暖化と森林」をテーマに物質循環の観点から、樹木の成長や微生物による有機物の分解について調べています。
キーワード:環境動態解析、環境動態解析

【主な担当科目】
樹木学、森林生態学、造林学実習

【主な研究分野】
落ち葉や木の根元で起きている小さなドラマを調べて、森のひみつと地球を守る力を探る研究をしています。ヨーロッパの保護林、アラスカの山火事跡地、日本のブナ林など、多様なフィールドで調査を実施し、森林の自立性や持続可能性を解明しています。落葉や倒木、土壌の重要性を探求し、美しい緑豊かな環境を支えるメカニズムを明らかにすることを目指しています。

【研究内容の紹介】

〜研究テーマ①〜
温暖化が森林生態系に及ぼす影響の解明

地球温暖化が進行する中、森林生態系への影響は深刻な課題となっています。私は、特に日本のブナ林を対象に、温暖化が樹木の成長や微生物による有機物分解にどのような影響を与えるかを研究しています。これまでの研究では、気温上昇が落葉や倒木の分解速度を加速させ、土壌中の炭素循環に変化をもたらすことが示唆されています。これらの成果は、将来の森林管理や温暖化対策において重要な指針となるでしょう。

〜研究テーマ②〜
積雪減少が有機物分解速度へ及ぼす影響の解明

近年、積雪量の減少が報告されており、これが森林の有機物分解プロセスに与える影響が懸念されています。私は、積雪の減少が落葉や倒木の分解速度、さらには微生物群集の構成にどのように影響するかを調査しています。研究の結果、積雪が断熱材として機能し、土壌温度を安定させることで微生物の活動を維持していることが明らかになりました。積雪の減少により、土壌温度の変動が大きくなり、微生物の活動が低下し、有機物の分解が遅延する可能性が示されています。この研究は、気候変動が森林の物質循環に及ぼす影響を理解する上で重要な知見を提供しています。

〜研究テーマ③〜
森林生態系における分解者の多様性形成と炭素隔離機能への影響の解明

森林の炭素隔離機能は、気候変動緩和において重要な役割を果たしています。私は、森林生態系における分解者、特に微生物の多様性が炭素隔離機能にどのように影響するかを研究しています。これまでの研究で、微生物の多様性が高いほど有機物の分解が効率的に進み、炭素の固定が促進されることが示されています。これらの成果は、森林の炭素隔離能力を高めるための管理手法の開発に寄与するものと期待されます。